「社長の罵倒が響くオフィスがつらい」保育園のために悩みながら働き続けるKさんのケース

仕事を持つ女性は増えているのに、出産を経て産休や育休明けとなると、自分の都合だけでは仕事を選べなくなってきます。

日本では子どもを保育園に入れるためには仕事をしている必要があり、親が仕事を辞めると、子どもも保育園に通えなくなります。

キャリアのためにも仕事は続けたいけど、この会社をすぐにでも辞めたい。
けれど、辞めたら子どもを預けられなくなる。

そんな状況下で、今の仕事を続けるべきか否か悩んでいるKさんのケースを紹介します。

Kさん 40代 総合職
首都圏在住 夫婦+保育園児の3人暮らし

ウェブの仕事を続けてきたのに、出産を機に総務へ

社内会議

Kさんは今ではシステム会社で総務や経理の仕事をしていますが、それまではウェブ制作に携わる仕事に就いていました。

都内の有名私立大を卒業したKさんは、新卒でシステム系の会社に入社します。

KさんはJAVAを使ったシステム開発の業務を担当することになり、仕事の一環としてウェブ業界のセミナーやイベントにも積極的に参加していました。

その中で仕事の参考になるから、と自分がよく閲覧していたメディアの運営をしている男性と知り合います。
この人が、現在勤める会社の社長であるSさんです。

Sさんとは共通の知人がいたこともあり、ちょくちょく連絡を取るようになりました。

ウェブの仕事に先行きが見いだせない

それから、Kさんはいくつかの企業でウェブサイト制作などに携わりながらも、家族の事情などでフリーランスとして活動することにしました。

最初はウェブやシステムに関する仕事を個人で請け負っていましたが、作業単価は下がっていく一方です。

Kさんは「このままウェブの仕事をしていても、先がないのでは…」と思い始めていました。

Sさんから「ウチの会社にこないか」と誘われる

体験談取材

ウェブの仕事に疑問を感じ始めていた時に、以前から知り合いだったSさんから連絡がありました。

それは「うちの会社で働いてみない?」というお誘いでした。

Sさんの会社はB to Bの管理システムを提供していて、新しいアイディアを採用したことで業界でも高い評価を受けていました。

移り変わりの激しいシステム業界でも、創業から10年以上生き延びているので、会社の安定感も魅力でした。

ウェブ系の仕事に疑問は感じながらも、Sさんと相談して「システムのテストを手伝ったり、ウェブサイトの更新なんかをやってくれればいいから」という事で話しがまとまりました。

出社してみると、なんかおかしい

さっそくSさんの会社での勤務がスタートしました。

同僚の人たちはみんな良い人たちで、アットホームな和気あいあいとした雰囲気のオフィスでした。

けれど、社長の部屋からは役員らと言い合う怒鳴り声がしょっちゅう聞こえてくるのです。

社長「お前がバカだから黒字にならないんだよ!」
役員「バカって言うな!!」

ビックリしていると、同僚からは「社長と役員は、ああやっていつも言い争いをしているんだ」とのこと。

昔からSさんは話し上手で、営業トークでも人を説得できるスキルがあるなと感じていました。

けれど、時々、強い口調になってしまうこともあり、そんな言い方をしなくても…と感じることもしばしば。

この時も、古い仕事仲間を相手に、ちょっと言い方がきつくなってしまったのだろう、と思っていました。

次々と出てくる、退職者

上司の叱責

最近、20代の営業だった男性の姿が見当たりません。

同僚に理由を聞くと「社長にスマホを投げつけられちゃって。そのまま辞めちゃった」と言います。スマホの直撃は免れたものの、委縮してしまい会社に来れなくなったそうです。

別の日は、会社をすでに退職した女性から電話があり「デスクにある私の私物は、全部処分してもらって結構です!」と、早口にまくしたてると、電話を切ってしまいました。

取引先へ出向した社員は、いつのまにか除籍されていて、会社に戻ってくることはありませんでした。

人が入ったと思っても、社長とあわずに辞めていくのでスタッフは減る一方。

そうこうしているうちに、Kさんは結婚と妊娠で、産休を取ることになりました。

復帰したデスクには、社長の印鑑が残されていた

シャチハタハンコ

産休から戻ると、Kさんのデスクには社長のハンコが置かれていました。

小さな子どもを保育園に預けての復帰だったこともあり、育休明けからは仕事に融通がききやすい総務の仕事を担当することになっていました。

ハンコの意味も解らずにPCを開くと、前任者からメールがいくつか転送されているだけで、何の説明も引継ぎもなしに辞めていったようでした。

誰にも何も聞けずに、見よう見まねでデータを探しては書類を作って、このハンコを押して、という日々が始まりました。

ついに私にも怒号の声をあげた社長

少人数のオフィスは外周りの人が多かったので、必然的にKさんが電話を取る機会が多くなりました。

ある日、社長とアポがある方から内線があったので、Kさんは「社長、お約束の方がエントランスでお待ちです」と伝えました。

社長はデスクからエントランスに向かったのに、すぐにオフィスに戻ってきて「おいK!さっきの人って何?どこにいるんだよ?顔も知らない人と会えない!」と怒鳴ってきました。

Kさんは電話を取り次いだだけなので、Bさんが誰なのか知りません。
唖然としていると、同僚から「今のはKさん、悪くないよ」と声をかけられました。

退職を決意して、社長に申し出てもスルー

同僚はいい人ばかりなのに、社長の機嫌を損ねると一気に雰囲気が悪くなってしまうオフィス。

どんどん人が辞めて、自分の仕事が「兼任」「兼務」と増えていく一方なのに、全く状況が改善されません。

保育園のお迎えがあるから時短勤務で16時までに退社すると言ってあったのに、退社数分前に用事を言いつけられて、なかなか帰れないことも増えました。

また、兼任が増えるごとに仕事も増えてしまい、そもそもの業務量が手に負えなくなってきました。

業務連絡

そんな状況と裏腹に、保育園預けた子どもは体調不良やちょっとした発熱を起こして、園から呼び出しがかかります。

もし保育園から連絡があれば、母であるKさんがお迎えに行かなくてはなりません。

こんな状況に先行きが見通せなくなり、Kさんは社長に社内チャットで「再来月の10月末には退職させてください」とメッセージを送りました。

そこには、自分が仕事と育児の両立が難しいことや、今の業務範囲では今後続けていくことが難しいことなどを書き連ねました。

社長からは『既読』が付いたものの、一向に返信や連絡はなく無視されたままです。

社長から「保育園、大丈夫なの?」という一言

退職を宣言した10月末の数日前、突然、社長から呼び出されました。

社長室に行くと、開口一番で「あのさぁ、仕事辞めて、保育園…大丈夫なの?」と言うのです。

Kさんは社長からの返信がないので、引き継ぎ書も作って、問題なく辞められるように準備をしっかりと整えていました。

それなのに、いきなり「仕事を辞めてもいいの?」と、聞かれてKさんは驚きました。

確かに今、仕事を辞めたら、子どもを通わせている認可保育園は辞めなくてはならないでしょう。

でも、この職場で今の仕事を続けるのは業務量も精神面でも難しいのです。

「今の仕事量では働き続けることができません」とKさんが言うと、Sさんは「来週から派遣さんがくるから、業務量はかなり減ると思うよ。それに、在宅で仕事をしてもいいからさ。保育園続けたいんでしょ?だったら、仕事は続けた方がいいんじゃないの?」と言ってきます。

すでに、保育園と仕事を両立する生活リズムができあがっていて、子どもも保育園で仲良しの友達ができているので、なるべく環境を変えたくありません。

ここで仕事を辞めたら、保育園も辞めなくてはならなくなる。

そうすると、子どもは大好きな友達や先生と離れ離れになり、自分が日中の育児をすべてやらなくてはならなくなる。

そう考えた時に、Kさんは仕事を辞めることがとても難しいと感じてしまいました。

今でも常に辞めたいと思っている

頭を抱えるOL

Kさんは週のほとんどを在宅勤務にして、社長のSさんと距離を取って仕事を続けています。

子どもが小学校に上がるまでは我慢、と思いながらも、常に辞めたいという気持ちを持ったまま仕事を続けています。

このまま仕事を続けることが良いことなのか、疑問を持ったまま今日も職務に就いています。

編集部より

本来であれば「退職の申し出」から2週間以上経過していれば、退職することは問題ないはずです。

社長はそのことも理解した上で、Kさんが保育園のために仕事を続けている状況を利用して、強引な引き留めを行っています。

また、社長の普段の言動はパワハラやモラハラに当たると言えるでしょう。

従業員にスマホを投げつけることは、パワハラの一環で立派な暴行未遂に当たる行為です。
バカと言ったり、強い口調で部下に怒鳴りつけることも、モラハラと言えるでしょう。

また、パワハラやモラハラで退職している人が多い職場では、いつ、訴訟や損害賠償手続きを取られてもおかしくありません。

今は子どもの保育園のために仕事が必要という状況は理解できます。

けれど、もっとより良い職場環境で健全な精神状態で働くことができるはずです。

社長が怖くて、なかなか辞めると言い出しにくい。何を言っても丸め込まれてしまって、退職にたどり着けない。

そんなケースには退職をサポートしてくれるサービスを利用して、きっぱりと会社を辞めることができるのではないでしょうか。

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