「パートなのに、休日でも仕事のメールが来る」業務範囲が逸脱している…映像制作会社パートのMさんのケース

女性の中には結婚や出産でフルタイムの仕事を辞めて、パートで働く人もいます。

日本には「扶養」というシステムがあり、サラリーマンの妻が年間103万円以上の収入を得ると所得税を払わなくてはなりません。
この『103万円の壁』を超えると税制面で不利になるので、収入を調整して働いている人がたくさんいます。

逆に、この制度を利用して、スタッフを不当に安く雇っている経営者がいるのも事実です。

今回はパートで働いているにもかかわらず、社員と変わらない業務を押し付けられているMさんのケースを紹介します。

Mさん 37歳 パート勤務 夫婦で地方在住

夫の転勤に伴い、地方で新しい暮らしをスタート

新卒OL

Mさんは関東の大学を卒業後、新卒で小さな広告代理店に就職しました。

入社後は営業職としてファッション系のクライアントを担当しながら、1年目で新人賞を受賞するなど、代理店営業として着実にキャリアを積んでいました。

20代は仕事もプライベートも楽しく過ごしてきましたが、30歳を目前に同僚だった男性と結婚することになりました。

しかし、二人で新しい生活を始めようとした矢先、夫が地方都市にある支店に転勤になってしまいました。

新天地でも働きたい!

引っ越しする新婚夫婦

赴任先の新居に引っ越したものの、夫はすぐに仕事が忙しくなりました。

子どももおらず、仕事もないMさんは家でやることがなくなり、時間を持て余すように。

そんな時、地域限定のフリーペーパーに目を通していると「映像制作会社で事務員募集」という広告を見つけました。

広告代理店での営業経験があるので、映像の制作会社なら今までの経験が活かせる!
そう思って、早速、その求人広告に問い合わせました。

経験者ということで即採用!それなのに、パート扱い?

上司と面談

Mさんは映像制作会社の面接に挑みました。

自分が広告代理店での営業経験があること、映像だけでなくデザインや印刷物の制作にも携わり、会社での業務にすぐにでも貢献できることなどを説明しました。

すると面接をした社長は、Mさんの話しを聞いて、すぐにでも入社してほしいと言います。

しかし、今は夫の転勤でこの地方に住んでいるので、もし帰任となった場合には退職しなくてはならない旨を説明しました。

社長は「ご主人のことは分かりました。扶養の範囲内とか、帰任の際には退職するとか、そういったことは了解しているので安心してください。地方都市なので、同じような境遇の奥さんは結構いるんで、大丈夫ですよ!」と言ってくれました。

それを聞いたMさんは安心しました。
来週から勤務を開始して、出勤したら契約書を交わしましょう。と約束して、会社を後にしました。

経験者なのにパート採用

帰宅後、Mさんは夫に仕事を始めることを報告。
夫は「扶養の範囲内なら」という条件で承諾してくれたので、これで問題ないとホッとしました。

そして、週明けの月曜日に出社すると社長から雇用契約書を渡されます。

雇用契約書

そこには「パート勤務」と記載されていて、「時給1,000円」と書かれていました。

てっきり経験者採用だと言っていたので、正社員とは言わないまでも契約社員や嘱託社員として採用されたと思っていました。

それなのに、パート採用という条件に驚きを隠せません。

時給も地方都市では高い金額ですが、自分が営業職として働くなら、この時給では低すぎると感じました。

そのことを社長に訴えると、「だって、Mさんは旦那さんの赴任できてるんでしょ?扶養の範囲内だったら、そんなに働けないよ。いつ帰るかわからないなら、いつでも辞められるパートの方がいいと思うけどね」と言われてしまいます。

その時は『扶養の範囲内だと、収入に上限がある。それに、いつ帰任になるかわからないなら、責任がある仕事をするのは難しい』と納得し、その雇用契約書に署名と捺印をしてしまいました。

社員と変わらない仕事を任されているのに、条件はパートのまま

業務が始まると、社長はありとあらゆる案件をMさんに任せてきました。

社長が忙しい時にはクライアントからのメールを転送しただけで、「適当に対応しといて」というようなこともしょっちゅうです。

地方の小さな制作会社なので、地域に関する取材や撮影が突発的に発生します。

東京のテレビ局がタレントさんを連れて地方ロケに来る時には、取材予定のお店へ事前許可を申請したり、当日のロケバスやお弁当の手配をします。

出版社から地方都市を特集するガイドブックを作りたいと依頼があれば、現地情報のリサーチや、実際の取材と撮影ができるように許可取りや日程調整を行います。

企業のウェブサイトに使うイメージ動画が欲しいと言われれば、高台にある街中が一望できる場所へカメラを持って行って撮影をします。

地元の保育園から卒園式のDVDを作ってほしいと依頼があれば、カメラマンを手配して撮影した動画を、保護者向けのDVDに編集して納品します。

これらの仕事を受注から納品まで担当するMさんは、次第に疑問を抱いていきます。

休日でも容赦なくクライアントから連絡がくる

電話で困る女性

Mさんは近隣のS保育園から卒園式のDVDを作成したいと依頼があったので、社長がカメラマンとして撮影に行くよう依頼をしていました。

しかし、卒園式の開始になっても「カメラマンさんがこない」ということで、Mさんのスマホへ直接クライアントから電話がかかってきました。

社長は電話のすぐ後に現場へ到着して、無事に撮影できたものの、なぜ自分のプライベートな電話番号に連絡がきたのかが疑問でした。

社長との認識の違い

念のために社長に一連のやり取りについて報告をすると、「MさんはS保育園の担当なんだから、当然でしょう」と言います。
「ちょっと渋滞で到着が遅れただけ。撮影は無事にできたから問題ない」と、悪びれた様子もありません。

Mさんはパートとして勤務時間内にできるだけの仕事はするつもりですが、営業窓口として担当を持つのは業務範囲を逸脱しています。

それに、パートが勤務時間外に仕事をするなんて納得できないと感じていました。

「私はオフィスに居るときに対応できる範囲の仕事しか、やりません!」

こういうと、社長は「責任感がないんだね、がっかりだよ」と言います。

知らないうちに辞めていく同僚

一緒に働いていた同僚たちは、社長の無茶振りに嫌気がさして、次々と退職していきます。

家族の都合で辞めていくケースもあれば、自分の意思で退職することもありますが、いつの間にか来なくなる人も。

気が付けば、半年前に入社したMさんが一番古いスタッフになっていました。

社長に対してきっぱりと意見が言える人がいないので、「なんかおかしいな?」と思った人は正社員でもアルバイトでも、短期間で辞めているような状況でした。

ついに退職を申し出る

上司との面談

待遇や時給にちょっとした不満はありながらも、業務自体は楽しくやり甲斐もあるので、なんとなく働き続けていました。

しかし、夫の本社帰任が決まったことで状況は一変します。

Mさんが「再来月には夫が帰任になって首都圏に戻るので、今のお仕事は辞めさせてもらいます」と社長に伝えると、「そうですか…、残念だけど、仕方ないですね。」と言ったまま、それ以上の反応はありませんでした。

パートなのに責任って何?

Mさんが社長に退職を伝えてからも、業務を引き継ぐ後任がいないので、最終出勤日まで通常通りの仕事をしました。

社長に「さすがに今日が最後なので、クライアントに退職のメールを送ろうと思うのですが、今後の連絡先は社長でいいですか?」と聞きました。

すると、社長は「え?Mさんの担当なんだから、最後まで責任持って対応してよ!」と言います。

Mさんは驚いて「2ヶ月前に辞めるって言いましたよね?」と聞くと、社長は「辞めるのは仕方ないけど、Mさんの仕事は誰もわからないよ?」と言います。

『引き継ぐ人がいないからやっていただけで、パートに責任なんて言われても困る…』と、Mさんは困惑してしまいました。

私のアドレスを消してくださいとお願いするも…

業務連絡

退職してからも、Mさんの個人アドレスには業務に関するメールが転送されてきました。

その中にはMさんでなければ分からない内容もあるので、できる限りは返信していたのですが、このやり取りが減ることはありません。

Mさんは社長に「私にメールを転送してこないでください。私のアドレスを消してください」と連絡しました。

社長からは「わかりました、アドレスの転送設定を変えておきます」と返信があったものの、いつまでもメールは届きます。

どこまでが契約に含まれるのかわからない

普通の会社でも、引き継ぎきれなかった仕事について、退職後に問い合わせがくることはあります。

資料の保管場所や、保留になっていた案件の状況を知りたい。
その程度であれば対応するのは仕方ないでしょう。

しかし、Mさんのケースは退職したのに取引先からの連絡が絶えないのです。

再び社長に問い合わせると「今まで対応してくれた分の時給は払うから。それに、今はリモートとか流行ってるし。これからも、外部スタッフってことで続けたらいいんじゃない?」と、状況を改善する気はありません。

むしろ、Mさんの責任感を利用して、ずるずると仕事を押し付けてきます。

一時期よりも減ったものの、Mさんは曖昧な雇用条件のまま、仕事を押し付けられ続けていることに不安を感じています。

きっぱりと決別する必要がある

ダメという会社員

Mさんのようにはっきりと退職の意向を伝えたにも関わらず、曖昧な条件で都合よく利用してくる経営者もいます。

ワンマン社長の零細企業には、雇用条件をうやむやにしたまま働かせているような会社が残っています。

同じ業界で働いている中で、下手に取引先からの連絡を無視すると、個人のキャリアや評判にも傷が付いてしまいます。

このようなケースにはアルバイトやパートの退職代行も請け負ってくれるサービスを利用して、きっぱりと縁を切りましょう。

退職代行サービスを通して、今後の社長と直接のやり取りを断てば、経営者も曖昧な業務を押し付けられなくなります。

きちんと雇用契約を精算して、次のステップに進むことをおすすめします。

※プライバシー保護の観点から、本人の希望により一部事実を変更している表記があります。

参考:アルバイト・パート対応可能な退職代行サービス一覧表

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